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第28話 雪深い国へ・巨人族の王に献上されたエリンシア

last update Last Updated: 2025-05-07 21:34:46
しばらくして数日後、ある日の朝

エリンシアは魔法の火で喉を焼かれた

「ぎゃああ、ひぃぃ」悲鳴が上がる

エリンシアの身体の奥にしまわれてる白い翼は

無理やり引きだされ、切り落とされる

「数時間もすれば、痛みも引く、喉も背中も どちらの薬も用意はした

これからは無口で従順に巨人の王に仕えるのだぞ」

捕虜となった他の娘達ともに、連れ去られたエリンシア

鉄格子の馬車が数十台、囚われた人達を乗せ、彼等を奴隷とする為に巨人族の国へと向かう

「うう…」「ううぅ」泣き声にうなだれ者達

その中には、エリンシアの姿もある。

◆ ◆ ◆

巨人族の国に連れてゆかれ、次には巨人族の王に献上される為に

また、数日をかけて、今度は馬に。乗せられて 巨人族の王の元に連れて行かれた

先導するのは、ヴァン伯爵の操り人形となり

自らの意思を持たない異形の竜の戦士セルト

巨人族の王への贈り物の荷物の中には

あの魔法画 白い白鳥の絵に赤い子供の竜の絵もあった。

先に囚われた幼いテイタル王女は巨人族の国に向かったという

雪の街、市場の近くには、豊かな黒の国からの産物が加わり、並んでいる 多くが占拠した黒の国の街からの略奪品

小麦に米などの穀物、森の様々な獣の肉、幾種もの果実

海に川の魚に、家畜の肉

魔力を帯びた宝石、ダイヤにルビー、アクアマリン、トルコ石、サフイア、金、銀に装飾品

そうして、道行く中には、奴隷にされた黒の国の民も混ざっていた。

冬の長いこの地では、寒さに強い家畜に数種の植物が主な食料、鉱山では珍しい宝石があるが
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    アンリス…赤子の名前「元気な赤子、大きな声で泣いている」手伝いに来た者たちがそんな話をしていた。「とても、可愛いよエリンシア、有難うゆっくりしてくれ」アーサー「ゆっくり休んでねエリンシア」ティンタルは微笑した。赤ん坊を抱く二人の子供の父親になったアーサーアーサーは大事な赤子を嬉しそうに抱いていたのだった。 「お母さん、お父さん、アンリスを抱いて良いかな?」気恥かしそうに姉になったティナが聞くエリンシアはベッドの中で頷き父親のアーサーも頷きながら「お姉さんになったね、ティナ」と言いながらそっとまだ生まれて 数日の赤子をティナにそっと、優しく手渡す「あ…可愛いわ!」アンリスは両生体だった。この赤ん坊はエリンシアの最初の子供であるエイル、エルトニアと同じく「私の弟になるのかしら?それとも妹?」「成長するまではね、まだ分からないそうだよティナ」笑い、ほほ笑むアーサーやティナを見ながら深い疲れと眠気に囚われる母親のエリンシア…この雪深い巨人族の国に来て、ずっと、ずっと私の身体は少しづつ弱っているような気がする。…巨人族の者たちが拐って来た多くの白の国の者たちが…黒の国の者達と違い、儚い幻のように力尽きて死んでしまったと聞いた。癒しの魔法に薬師の薬も服用しているのだけど心の深い傷長い年月の辛い過去の出来事が私の身体を蝕んでいるとも白の国の民…住んた地からは離れ過ぎて生まれ地、大地の守護力が遠く離れて届かないのだろう或いは荒ぶる巨人族の加護、巨人族の生まれた大地の力が白の民には毒…毒なのだと…薬師達が言うだとしたら?私は?……………愛するアーサー、ティナ、生まれたばかりのアンリスを置いて?エリンシアの瞳から涙が一筋気づかれぬように拭うエリンシア

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  • 羽琴の姫君…羽琴をつま弾く哀しき姫の願いと流転する悲劇の果て2   雪山の戦い 魔法の攻撃

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